今回ご紹介する文は、あるホテルのカードキー返却ボックスに書かれていたものです。
この英訳も、自動翻訳で翻訳したものをそのまま使ったものと思われます。
追加清算のないお客様はこちらに
カードキーをご返却ください
Click here for customers without additional
payment Please return the card key
この英訳をよく見ると、1行目と、2行目の「C」と「P」が大文字(朱書き部分)になっているので、この英訳は2つの文で構成されていることが分かります。この2つの文をそれぞれ日本語訳してみます。
①Click here for customers without addtional payment
(追加清算のないお客様はこちらをクリックしてください。)
②Please return the card key
(カードキーをご返却ください。)
ご覧の通り、最初の文とは違う意味の文になっています。
この誤訳の原因は、文の途中に改行を入れて自動翻訳機にかけてしまったことです。そのため、「追加清算のないお客様はこちらに」と「カードキーをご返却ください」という2つの文として翻訳されてしまったのです。
また、ホームページ内で別のページに移動するときにクリックする「こちら」というボタンをよく見かけますが、その英訳が「Click here」です。自動翻訳機は、「追加清算のないお客様はこちら(に)」という文を、ホームページ中の「こちら」ボタンで使う文だと認識したのです。
このような誤訳を避けるためには、自動翻訳にかける際に、「文の途中で改行せず1つのまとまり(文)として入力すること」が大切です。実際に、日本語原文の途中に改行を入れずに1つの文として自動翻訳するとどのようになるか見てみましょう。
追加清算のないお客様はこちらにカードキーをご返却ください
Please return your card key here if you do not have additional payment.
(追加でのお支払いがない場合は、こちらにカードキーをご返却ください。)
印刷レイアウトで原文の途中で改行が入るとしても、自動翻訳にかけるときは改行しない。ちょっとしたことですが、これだけでも誤訳のリスクを減らすことができます。